業界別CBAM対応:鉄鋼業界編

鉄鋼工場の風景 Uncategorized
  1. ねじ・ボルト製造の中小企業が今すべきこと
  2. 目次
  3. 1. なぜ鉄鋼業界が最優先なのか
    1. 日本の対EU輸出の現実
    2. ねじ・ボルトも対象という事実
    3. 中小企業が多い業界構造
  4. 2. 鉄鋼業界だけの「3つの特殊な課題」
    1. 課題①:電力の脱炭素では不十分(Scope1のみが対象)
      1. これが意味すること
    2. 課題②:外注だらけの複雑なサプライチェーン
    3. 課題③:製品単位の算定という高いハードル
  5. 3. 朗報:経産省のねじ・ボルト専用ガイドライン
    1. なぜこのガイドラインが画期的なのか
      1. 理由1:中小企業の実情に合わせた内容
      2. 理由2:図解が豊富
      3. 理由3:外注先の扱いまで説明
    2. ガイドラインで解決できること
    3. 実際の計算例
  6. 4. 日本鉄鋼連盟の動きと業界の本音
    1. WTO違反を指摘する理由
    2. 「導入反対」の背景
    3. でも、対応は待ったなし
  7. 5. 中小企業の実践ステップ
    1. ステップ1:経産省ガイドラインをダウンロード
    2. ステップ2:外注先リストアップ
    3. ステップ3:前駆体(線材)サプライヤーへの依頼
    4. ステップ4:自社の排出量データを集める
      1. 直接排出(Scope1)
      2. 間接排出(Scope2)
      3. 生産量
    5. ステップ5:外注先の排出量データを集める
    6. ステップ6:計算する
  8. 6. よくある質問(鉄鋼業界版)
    1. Q1:「外注先が『うちは関係ない』と言って協力してくれません」
    2. Q2:「線材サプライヤーが大手で、中小の取引先にデータなんて出してくれません」
    3. Q3:「電力を再エネに切り替えても意味がないって本当?」
    4. Q4:「うちは直接EUに輸出してないから関係ない?」
    5. Q5:「2026年までに間に合わない気がします」
    6. Q6:「こんな複雑なこと、中小企業には無理では?」
  9. 7. 今日からできるアクション
    1. 今日やること(30分)
    2. 今週やること(2〜3時間)
    3. 今月やること(5〜10時間)
    4. 3か月後の目標
  10. まとめ:鉄鋼業界のCBAM対応は「段階的に、仲間と」

ねじ・ボルト製造の中小企業が今すべきこと

「うちは小さなねじ屋だから、CBAMなんて関係ない…よね?」

そう思っていませんか?

実は、日本からEUへのCBAM対象輸出の大部分が鉄鋼製品なんです。 そして、ねじ・ボルトも対象に含まれています。

今回は、基礎シリーズを終えて、いよいよ業界別の具体的な対応へ。 第一弾は、最も影響が大きい鉄鋼業界を深掘りします。


目次

  1. なぜ鉄鋼業界が最優先なのか
  2. 鉄鋼業界だけの「3つの特殊な課題」
  3. 朗報:経産省のねじ・ボルト専用ガイドライン
  4. 日本鉄鋼連盟の動きと業界の本音
  5. 中小企業の実践ステップ
  6. よくある質問(鉄鋼業界版)
  7. 今日からできるアクション

1. なぜ鉄鋼業界が最優先なのか

日本の対EU輸出の現実

2019年のデータでは、日本からEUへのCBAM対象製品の輸出額の大部分が鉄鋼製品でした。

他の対象品目(セメント、アルミ、肥料など)と比べて、鉄鋼が圧倒的。

ただし、日本の鉄鋼業全体で見ると:

  • EU向け輸出は全輸出量の約3.1%
  • 国内流通も含めた総出荷量の約0.62%

「それなら大したことないじゃん」と思うかもしれません。

でも、その3.1%に該当する企業にとっては死活問題です。

ねじ・ボルトも対象という事実

CBAMの対象製品には、以下が含まれます:

CNコード 7318:

  • 鉄製または鋼製のネジ、ボルト、ナット
  • コーチスクリュー、スクリューフック
  • リベット、コッター、コッターピン
  • ワッシャー(スプリングワッシャーを含む)
  • および類似品

CNコード 7616 10 00(アルミ製):

  • 釘、鋲、ホッチキス、ネジ、ボルト、ナット
  • スクリューフック、リベット、コッター、コッターピン
  • ワッシャーおよび類似品

つまり、町工場レベルの小さなねじメーカーも対象になるんです。

中小企業が多い業界構造

日本のねじ・ボルト製造業界の特徴:

  • 中小企業比率が高い
  • 商流が複雑(外注の連鎖)
  • 多品種少量生産が多い

この構造が、CBAM対応を難しくしています。


2. 鉄鋼業界だけの「3つの特殊な課題」

他の業界と比べて、鉄鋼業界には独特の難しさがあります。

課題①:電力の脱炭素では不十分(Scope1のみが対象)

ここが一番のポイントです。

多くの業界では、Scope1(直接排出)とScope2(間接排出=電力)の両方が対象です。

でも、鉄鋼業界とアルミニウム業界では、現状Scope1(直接排出)のみが対象

これが何を意味するか?

再生可能エネルギーの電力を使っても、CBAM対策にはならない

鉄鋼製品のCBAM対応では:

  • ガス炉、重油などの燃料使用による排出(Scope1)→ 対象
  • 電力使用による排出(Scope2)→ 対象外(移行期間中は報告のみ)

つまり、製造プロセス自体の脱炭素が必須なんです。

これが意味すること

「太陽光パネルを設置すればOK」では済まない。 製造工程そのものを見直す必要がある。

水素還元製鉄など、革新的な技術が注目される理由がここにあります。

課題②:外注だらけの複雑なサプライチェーン

ねじ・ボルト製造の典型的な流れ:

線材購入 → 自社で一次加工 → 外注先Aで熱処理 
→ 外注先Bでメッキ → 検査・出荷

この場合、すべての外注先の排出量を把握する必要があります。

しかも、外注先も:

  • 他社の製品も作っている
  • 複数の工程を同時に回している
  • CBAM対応なんて聞いたこともない

「外注先に『排出量データください』って言っても、『何それ?』って言われた…」

これが現場のリアルです。

課題③:製品単位の算定という高いハードル

EU-ETSは施設単位での排出量管理。 でも、CBAMは製品単位

つまり:

  • 工場全体で年間100トンのCO2を排出
  • その工場で製品A、B、Cを作っている
  • それぞれの製品ごとに排出量を分ける必要がある

しかも、同じラインで複数の製品を作っている場合、製造時間で按分するなどの計算が必要。

中小企業には、これがものすごく重い負担です。


3. 朗報:経産省のねじ・ボルト専用ガイドライン

こんなに大変なら、諦めるしかないのか?

いいえ、救いの手があります。

経済産業省が、2024年2月にねじ・ボルト等におけるEU-CBAM用算定ガイドラインを公表しました。

なぜこのガイドラインが画期的なのか

理由1:中小企業の実情に合わせた内容

「日本国内のねじ・ボルト等製造メーカーは中小企業比率が高く、商流も複雡である等の業界状況を加味し」と明記されています。

大企業向けの難解な資料ではなく、中小企業が実際に使えるガイドラインなんです。

理由2:図解が豊富

Installation(施設)、Production Process(生産プロセス)といった複雑な概念を、実際のねじ製造会社の例で図解してくれています。

言葉で説明されてもわからないことが、図を見れば一発でわかる。

理由3:外注先の扱いまで説明

「外注先Aが線材を購入して加工する場合」 「外注先Bが製造の途中工程を担当する場合」

など、実際のケースに即した計算方法を示してくれています。

ガイドラインで解決できること

このガイドラインを使えば:

✅ システム境界の設定方法がわかる

  • 自社の製造工程のどこからどこまでを対象にするか
  • 外注先をどう扱うか

✅ 具体的な計算式がわかる

  • 直接排出の計算
  • 前駆体(線材など)の内包排出量の扱い
  • 製品単位への按分方法

✅ データ収集の方法がわかる

  • 何を、どこから、どうやって集めるか
  • 請求書ベースでOKなケースは何か

✅ デフォルト値の使い方がわかる

  • サプライヤーからデータが取れないとき
  • 総排出量の20%以内なら使える

実際の計算例

ガイドラインには、こんな具体例が載っています:

【例】ある中小の鉄鋼加工工場

  • 製品:鉄鋼ねじ
  • 年間生産量:15トン
  • 工場の年間直接排出量:40トン-CO2
  • 製造時間:800時間

計算手順:

  1. 直接排出量の配分
工場全体の排出量を製造時間で配分
= 40トン-CO2 × (800時間 ÷ 総稼働時間1,460時間)
= 21.92トン-CO2
  1. 製品単位の排出量
製品1トンあたり = 21.92トン-CO2 ÷ 15トン
= 1.46トン-CO2/トン
  1. 投入材料(線材)の排出量を加算
原料鋼材を10トン使用
鋼材の体化排出量:2トン-CO2/トン
材料からの排出 = 10トン × 2トン-CO2/トン = 20トン-CO2
製品1トンあたり = 20トン-CO2 ÷ 15トン = 1.33トン-CO2/トン
  1. 合計
直接排出:1.46トン-CO2/トン
材料排出:1.33トン-CO2/トン
─────────────────
合計:2.79トン-CO2/トン

この数字が、この製品の「体化排出量」です。


4. 日本鉄鋼連盟の動きと業界の本音

経産省のガイドラインは頼りになる。

でも、業界団体の動きを見ると、また違った側面が見えてきます。

WTO違反を指摘する理由

日本鉄鋼連盟は、EUの炭素国境調整措置(CBAM)に対して、繰り返し意見を提出しています。

その前に、一つ説明が必要です。

EU-ETSとは?

EU-ETS(European Union Emissions Trading System:欧州排出量取引制度)は、EU域内の企業に課されている炭素価格制度です。

簡単に言うと:

  • 企業にCO2排出枠が割り当てられる
  • 排出枠を超えたら、排出権を購入する必要がある
  • つまり、CO2を出すとコストがかかる仕組み

CBAMは、この「EU域内企業が負担している炭素コスト」を輸入品にも課すための制度なんです。

「規制の緩い国で安く作って、EUに輸出」

これを防ぐのがCBAMの目的。

で、ここからが日本鉄鋼連盟の主張です。

主な主張:

①内外差別ではないのか

  • EU-ETSでは「事業所単位」で排出量を測定
  • CBAMでは「製品単位」での計測を要求
  • この違いは不公平では?

②報告義務の頻度が違う

  • EU企業:年1回の報告
  • 輸入品:四半期ごとの報告
  • なぜ輸入品だけ厳しいのか?

③WTOルールに反するのでは

  • 自由貿易の原則に抵触する可能性
  • 保護貿易的措置とみなされかねない

「導入反対」の背景

2023年10月、日本鉄鋼連盟の北野嘉久会長(当時JFEスチール代表取締役社長)は、 「EU CBAMの導入には反対だ」と明言しました。

理由は:

  • 各国が取るべき脱炭素への道筋は異なる
  • 日本には日本のやり方がある
  • パリ協定の「共通だが差異のある責任」の原則に反する

でも、対応は待ったなし

業界団体が「反対」と言っても、EUの制度は進んでいます

2026年1月から本格適用が始まる以上、反対しながらも対応するしかない。

これが現場の現実です。

「理不尽だと思う。でも、取引を失うわけにはいかない」

中小企業の経営者の本音は、ここにあります。


5. 中小企業の実践ステップ

文句を言っても始まらない。 じゃあ、具体的に何をすればいいのか?

ステップ1:経産省ガイドラインをダウンロード

まず、これを手に入れましょう:

ねじ・ボルト等におけるEU-CBAM用算定ガイドライン(PDF)

無料です。 今すぐダウンロードできます。

このガイドラインには:

  • 図解入りの説明
  • 具体的な計算式
  • 使うべき排出係数のリスト
  • よくある質問への回答

すべて載っています。

やること:

  • ダウンロードして印刷
  • 担当者(自分)が一度、通読する
  • わからない用語をメモ

完璧に理解しなくてOK。 まずは「こういうものか」と全体像をつかむ。

ステップ2:外注先リストアップ

自社の製造工程を紙に書き出しましょう。

書くべきこと:

  • 原材料の仕入れ先
  • 自社でやっている工程
  • 外注している工程(どこに、何を)
  • 製品の出荷先

例:

線材仕入れ(A商事) 
↓
自社:切断・成形
↓
外注先B:熱処理
↓
外注先C:メッキ
↓
自社:検査・梱包
↓
出荷

このフロー図があるだけで、次のステップが見えてきます。

注意点:

  • 外注先が他社製品も作っている場合、その旨もメモ
  • 複数の外注先を使い分けている場合、すべてリスト化

ステップ3:前駆体(線材)サプライヤーへの依頼

前駆体(Precursor)とは?

製品を作るために投入される、CBAM対象の原材料のこと。

ねじ・ボルトの場合、線材が該当します。

やること:

線材の仕入れ先に、以下を依頼します:

「御社から購入している線材について、CBAM対応のために以下の情報を提供いただけますか?」

必要な情報:

  • 線材1トンあたりのCO2排出量(特定内包排出量)
  • その算定根拠
  • データの対象期間

依頼のコツ:

❌ダメな例: 「CBAMの体化排出量データください」 → 専門用語すぎて伝わらない

⭕良い例: 「EUへの輸出のために、製品製造時のCO2排出量データが必要になりました。御社の線材1トンを製造する際に排出されるCO2の量を教えていただけますか?」 → 目的と必要な情報を具体的に

もしサプライヤーが対応できない場合:

総排出量の20%以内なら、デフォルト値を使えます。

ガイドラインの付属書に、線材のデフォルト値が載っています。

例:

  • 鉄鋼の棒(熱間圧延):2.21トン-CO2/トン
  • ステンレス鋼の棒:4.30トン-CO2/トン

ステップ4:自社の排出量データを集める

集めるデータ:

直接排出(Scope1)

  • ガス、重油などの燃料使用量
  • データ源:請求書、メーターの記録

間接排出(Scope2)

  • 電力使用量
  • データ源:電気代の明細

生産量

  • 対象製品の年間生産量(トン)
  • データ源:生産記録、出荷記録

期間:

  • 原則として12か月間(暦年または会計年度)
  • 季節変動を排除するため

データ収集のポイント:

  • 完璧じゃなくてOK
  • まずは「だいたいこれくらい」を把握
  • 精度は後から上げていけばいい

ステップ5:外注先の排出量データを集める

これが一番大変です。

でも、避けては通れません。

外注先に依頼すること:

「弊社製品の製造を委託している工程について、CBAM対応のために以下のデータを提供いただけますか?」

必要なデータ:

  • 対象工程での燃料使用量(ガス、重油など)
  • 対象工程での電力使用量
  • 弊社製品の製造にかかった時間または重量

外注先が複数の製品を作っている場合:

「弊社製品の製造時間は全体の何%ですか?」

この比率がわかれば、外注先全体の排出量を按分できます。

外注先が協力してくれない場合:

現実問題、すぐには対応できない外注先もあるでしょう。

その場合:

  1. まず、協力してくれる外注先のデータから始める
  2. 協力してくれない外注先は、推計値を使う(総排出量の20%以内)
  3. 段階的に精度を上げていく

ステップ6:計算する

集めたデータをもとに、計算します。

基本の式:

製品1トンあたりのCO2排出量 
= (自社の排出量 + 外注先の排出量 + 線材の内包排出量) 
  ÷ 製品の年間生産量

ガイドラインに載っている具体的な計算式に従って、一つずつ計算していきましょう。

計算のコツ:

  • Excelで管理する
  • 計算式をセルに入れておく
  • 元データが変わっても、自動で再計算できるようにする

6. よくある質問(鉄鋼業界版)

Q1:「外注先が『うちは関係ない』と言って協力してくれません」

A:段階的にアプローチしましょう。

まず、なぜ必要なのかを丁寧に説明:

  • EUへの輸出に必須
  • データがないと取引を失う可能性がある
  • 他社も同じことを求められている

それでもダメなら:

  • 推計値を使う(総排出量の20%以内)
  • または、他の外注先のデータで代用
  • 将来的に精度を上げる方向で

Q2:「線材サプライヤーが大手で、中小の取引先にデータなんて出してくれません」

A:業界全体の動きを待つのも一つの手です。

大手の線材メーカーも、今後多くの取引先から同じ依頼を受けるはず。

そうなれば、標準的な体化排出量データを公表する可能性があります。

それまでの間は:

  • デフォルト値を使う
  • 業界団体(日本鉄鋼連盟など)の動向を注視
  • 経産省の支援策を活用

Q3:「電力を再エネに切り替えても意味がないって本当?」

A:CBAM対策としては、現状では意味が薄いです。

鉄鋼製品の場合、Scope1(直接排出)のみが対象

電力由来の排出(Scope2)は、移行期間中は報告のみで、課金対象外。

ただし:

  • 将来的にScope2も対象になる可能性はある
  • 脱炭素経営という観点では意味がある
  • 他の環境規制への対応にもなる

だから、「無意味」ではないが、「CBAM対策の最優先事項」でもない。

Q4:「うちは直接EUに輸出してないから関係ない?」

A:取引先が輸出している可能性があります。

直接輸出していなくても:

  • 取引先がEUに輸出
  • その製品に自社部品が使われている

この場合、取引先から「CO2データください」と言われます。

だから、「今は関係ない」でも、準備は必要。

Q5:「2026年までに間に合わない気がします」

A:完璧を目指さなくてOKです。

移行期間中(2023年10月〜2025年12月)は、報告義務のみ。 課金が始まるのは2026年1月から。

そして、最初から100点を取る必要はありません。

優先順位:

  1. まず30点を取る(おおまかなデータ収集)
  2. 次に50点(主要製品の精密な算定)
  3. そして70点(全製品、全工程カバー)

2026年1月に30点でも、2027年に50点、2028年に70点でいい。

段階的に進めることが大事です。

Q6:「こんな複雑なこと、中小企業には無理では?」

A:一人で抱え込まないでください。

使える支援:

  • 経産省のガイドライン(無料)
  • 業界団体の支援策
  • 地域の商工会議所
  • 中小企業診断士などの専門家

そして、同じ悩みを持つ仲間がいます。

業界内で情報交換する、勉強会を開く、共同でコンサルを雇う。

そういった横のつながりが、今こそ大事です。


7. 今日からできるアクション

長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

最後に、今日からできることをまとめます。

今日やること(30分)

□ 経産省のガイドラインをダウンロード こちらから

□ 自社の製造フロー図を紙に書く

  • 原材料の仕入れ先
  • 自社工程
  • 外注先
  • 製品

□ 担当者を決める

今週やること(2〜3時間)

□ ガイドラインを一度、通読する

□ 外注先リストを作る

  • 会社名
  • 担当工程
  • 連絡先

□ 線材サプライヤーに問い合わせメールを送る

  • 「CBAM対応で、線材の体化排出量データが必要です」
  • 「提供可能かどうか、まず教えてください」

今月やること(5〜10時間)

□ 自社の排出量データを集め始める

  • 電気代の明細を1年分集める
  • ガス・燃料の使用量を確認

□ 外注先に説明の連絡を入れる

  • まず、「なぜ必要か」を丁寧に説明
  • 協力をお願い

□ 簡易計算をしてみる

  • デフォルト値を使ってもいいから、まず計算してみる
  • 「だいたいこれくらい」を把握

3か月後の目標

□ 主要製品1品目の体化排出量を算出

  • 精度30点でいいから、計算完了

□ 外注先の一部からデータ入手

  • すべてじゃなくていい
  • まず、協力的な外注先から

□ 社内に状況を共有

  • 経営層に進捗報告
  • 現場に協力を依頼

まとめ:鉄鋼業界のCBAM対応は「段階的に、仲間と」

鉄鋼業界、特にねじ・ボルト製造の中小企業にとって、CBAMは確かに大きな負担です。

でも、一人で完璧にやる必要はありません。

  • 経産省のガイドラインを使う
  • 業界団体の支援を受ける
  • 同業者と情報交換する
  • 段階的に精度を上げる

これが、中小企業の現実的な対応策です。

「2026年は遠い未来」ではありません。 あと数ヶ月ちょっとです。

でも、焦る必要もありません。 今日から、できることから、少しずつ。

それが、この記事の一貫したメッセージです。


※この記事は、経済産業省のガイドライン、ジェトロのレポート、日本鉄鋼連盟の公表資料などを参考に作成しています。最新の情報は、各機関の公式サイトでご確認ください。

※「ここが違う」「こういう視点も必要」というご意見があれば、ぜひ教えてください。一緒に、より良い情報を作っていきたいと思っています。

mako

💚日本でも気候変動の災害が多く起き始めた昨今。少しでも自分にできる事はないかと思い、エシカル知識の収集とアウトプットを行っています。みんなで生きていける地球にしたいですね。
・エシカルコンシェルジュ受講中

makoをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました